配 筋検査の時間を50%以上削減!スマホスキャンを活用した現場業務の効率化
鉄道インフラの建設現場では、鉄筋コンクリート構造物内に組み上げられる配筋の検査や出来形管理に、従来の方法では手間や時間を要していました。
大阪府に本社を置く大鉄工業株式会社は、JR関西本線高架化工事で、スマートフォンアプリ 「PIX4Dcatch」 と3D配筋検査システム 「Modely(DataLabs社)」 を活用し、配筋検査の効率化を実現しました。本記事では、その事例を紹介します。
無料から有料まで試した末に辿り着いたPIX4Dcatch
大鉄工業の土木技術部では、以前からスマートフォンを活用した3D計測の可能性を検討してきました。無料のアプリから有料サービスまで、さまざまなツールを現場で試験的に使用してきたといいます。
しかし、鉄筋の計測には独自の課題がありました。多くのツールではスキャン結果にばらつきが出る、鉄筋が十分に再現されない、点群に欠損が生じる、など実務で使えるレベルの安定性を確保するのは難しい状況でした。
こうした試行を経て導入したのが PIX4Dcatch です。フォトグラメトリー(写真測量/SfM)とLiDARを組み合わせるPix4D独自の技術により、細く黒い鉄筋も欠損なく捉えることができ、作業者が変わっても再現性のあるデータを得られることを確認しました。

標定点なしで精度の高い寸法を取得可能
PIX4Dcatchを選んだもうひとつの理由は、標定点(マーカー)を設置しなくても精度の高い寸法を取得できることです。
通常、3D計測で精度を確保するには標定点の設置が必要ですが、次々に組まれる鉄筋かごの現場では、その準備に時間がかかることが課題でした。PIX4Dcatchではマーカーレスでも寸法を取得でき、初めて操作する作業員でも簡単に操作できます。iPhoneを手に持って歩くだけで、寸法精度や点密度を確保しつつ、短時間にスキャンが完了します。このため、現場作業の進行を妨げずに配筋検査を行うことが可能です。
実際のワークフロー
現場での作業は、次の手順で行われました。
- PIX4Dcatchを使用し、iPhone Proで鉄筋かごをスキ ャン
- PIX4Dcloudで点群データを生成
- 不要点群削除
- Modelyで、鉄筋検出~帳票化までを半自動化で実施


導入効果 ― 作業時間を50%以上削減
JR関西本線高架化工事における「場所打ち杭」129本の鉄筋かご管理でPIX4DcatchとModelyを本運用した結果、以下の成果が得られました。

- 写真撮影枚数:
(導入前)81枚/かご x 129かご(合計:10,449枚) (導入後)39枚/かご x 129かご(合計:5,031枚) ⇒配筋検査にかかる作業時間:1かごあたり56%削減
- 全体効果:約850時間(106人工相当の作業時間削減)
従来の管理方法では、写真撮影、計測、写真整理から帳票作成まで、手間のかかる工程が多く、特に写真管理に起因する人的・時間的コストが多大にかかっていました。検査項目の多くをPIX4Dcatch とModelyを活用した点群管理に置き換えたことにより、作業者への負担を56%削減と、大幅に解消することに成功しました。
削減によって生まれた時間は、品質管理や安全管理の強化、働き方改革など、現場での重要業務に充てられています。 (挿絵 イメージ)

まとめ
大鉄工業では、スマホアプリを活用した3D配筋検査により、作業時間の大幅削減と現場業務の効率化を実現しました。PIX4DcatchとModelyを組み合わせることで、鉄筋検査の精度と再現性を保ちながら、次々に組まれる鉄筋かごの現場作業にも対応できる運用が可能となっています。
この取り組みは、場所打ち杭のような配筋形状が比較的類似した構造物で特に有効であり、今後はより複雑な配筋形状や多様な構造物への応用も期待されます。
事例協力 本記事は、大鉄工業株式会社およびDataLabs株式会社にご協力いただき、作成しました。 大鉄工業株式会社 https://www.daitetsu.co.jp/
DataLabs株式会社 https://www.datalabs.jp/



