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Pix4D エコシステムの最新アップデートを徹底解説

PIX4D のエコシステム全体のデータ取得から成果物の出力まで、最新の改善点をご紹介します。

Pix4D の今回のリリースでは、コア テクノロジーを進化させ、測量やマッピングに加え、公共安全、公益事業、水平施工、屋内向けソリューションといった多岐にわたる分野で現場のニーズに合わせた改善を行いました。例えば、撮影プロセスの効率化、共同作業機能の強化、3D データの新しいビジュアライゼーション方法の導入が挙げられます。これらの強化により、各分野に特有のワークフローや課題への対応が可能になりました。

公益事業・水平施工

大規模なインフラ整備や公益事業の成功には、チーム間の円滑な連携が欠かせません。現場作業は常に変化を伴い、時に危険な環境下においてデータの取得作業を行います。そして、オフィスにいるチームは、そのデータを迅速に理解し確信をもって意思決定を行う必要があります。今回のリリースでは、現場とオフィス間のギャップを埋めるための注釈機能を新たに Pix4Dcatch に追加し、視覚情報だけでなくその周辺情報も補足できるようになりました。

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Pix4D 製品を活用することで現場で完全なデータを取得可能

注釈機能を使用することで現場で直接、撮影したデータに情報を記録できます。また、画像や説明を添付したり、処理前の点群を直接リンクしたりすることもできます。PIX4Dcatch に追加された各注釈はジオリファレンスされ、PIX4Dcloud にアップロードすることもできます。PIX4Dcloud 上では、プロジェクトの関係者がアップロードされた内容をレビューし、必要な情報がそろっているかどうかを確認できます。この機能を活用することで公益事業者やエンジニアリング会社は、現場での完全なデータ取得を実現しつつ、時間とコストの削減できます。

また、PIX4Dcloud に関心領域機能を新しく追加しました。関心領域は、現場で PIX4Dcatch から PIX4Dcloud にデータをアップロードする際に直接設定することも、新しい処理ジョブを開始する際に PIX4Dcloud 上で後から設定することもできます。制御の自由度が上がったことで、より注意が必要なエリアに焦点を絞ってレビューやエクスポート作業を実行できるため、時間や使用する帯域幅の削減につながります。

さらには、ユーザーが手持ちの装置を使用してスムーズに作業ができるよう、PIX4Dcatch でサポートされる RTK システムの種類を増やしました。これにより、複雑な設定や手動での構成に煩わされることなく RTK システムと PIX4Dcatch を接続できるようになりました。この機能の追加によって、使用するハードウェアを問わず、すべての工程で高い精度を提供するという Pix4D の取り組みを一層強化していきます。

今回のアップデートにより、大規模なプロジェクトにおける、公益事業チームや施工チーム間のコミュニケーション、連携、作業の実行方法が改善されます。現場での観測からクラウド上でのコラボレーションに至るまで、分散されたデータを共有された知識に変えることで、チームが確信を持って前進するのに必要な明瞭な指針が示されることとなります。

測量・マッピング・エンジニアリング

測量では、精度と生産性の両立が求められますが、バラバラのツール、手作業のステップ、データ品質のばらつきにより、作業に遅れが発生することは少なくありません。その上、従来の手法は技術的な信頼性は高いものの、煩雑であり実際の作業環境での導入が困難であることが多く、不要な手間がかかることがありました。今回のリリースでは、従来の測量のイメージを覆す、より効率的で統合されたワークフローを提供します。

PIX4Dcatch の GeoFusion アルゴリズム (英語) は、データの取得を飛躍的に向上させます。オートタグを使用することで AR の安定性を強化し、3D 前処理済みの点群の密度化を高めることで、より整った信頼性の高い点群を早い段階から取得できます。これは、従来の整合作業の実施が困難だった、複雑であったりソースが複数存在したりする環境において、特に価値を発揮します。

GeoFusion を使用したトンネルの記録作成

地下トンネルや密集した都市部など、RTK 信号が弱いか全く届かないような場所でも、GeoFusion は視覚情報と位置情報を融合して高精度のジオタグ付けを維持します。この特性は、GPS 単独では安定した結果が得られにくいインフラ点検、トンネルの記録作成、建築の進捗管理といった用途に最適です。

また、処理段階であっても、測量士は LiDAR とフォトグラメトリを一つのパイプラインでシームレスに組み合わせることで、ハイブリッドなモデリングを活用できます。ハンドヘルド スキャナー、ドローン搭載 LiDAR、地上で撮影した画像データのいずれを使用している場合であっても、このワークフローは高精度のメッシュ、DSM、オルソモザイクを生成します。高密度でスケーラブルなメッシュ パイプラインと自動ノイズ除去機能が組み合わさることで、ユーザーはデータの修正ではなく、成果物の提供に注力できるようになります。

スケーラブル メッシュ プロジェクトの例

さらに、PIX4Dcloud では新しい出力オプションとしてガウス スプラッティングが利用可能になり、PIX4Dcatch で撮影されたデータセットをデスクトップで処理した後に PIX4Dcloud にアップロードできるようになりました。LiDAR の統合とは別ではあるものの、この機能は画像ベースのデータセットを、没入感のある詳細さで視覚化するための画期的な方法を提供します。ガウス スプラッティングは、3D 成果物の見え方を大きく変え (英語)、より滑らかでダイナミックなレンダリングを生成し、環境をリアルに再現します。これは、インフラ現場や密集した都市圏といった複雑な空間を、視覚的に魅力的で直感的な形で提示するのに特に効果的で、生のデータをバーチャルに歩き回れるデジタル空間へと変貌させます。

公共安全

公共安全に関わる科学捜査では、技術的な障壁なく現場の状態を素早く、明瞭に撮影する必要があります。今回のリリースでは、より直感的なインターフェイスと、より使いやすい処理パスが導入され、捜査官が現場で取得したデータを成果物としてスムーズに得られるようになりました。つまり、データの取得方法にかかわらず、1 つの統合されたエコシステム内で高品質の成果物を簡単に生成できます。モバイル デバイス、ドローン、その他のカメラのいずれを使用しても、ワークフローは柔軟であり現場で高度な専門知識を必要とすることなく効率的に作業できます。また、今回のリリースから UI が改善され、現場の記録と再構築をよりスマートかつ簡単で直感的にできるようになり、プレッシャーの多い環境下でも複雑な操作を必要とせずに信頼性の高い成果物を得られるようになりました。

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側面衝突交通事故の再構築: PIX4Dmatic による高精度解析

屋内向けソリューション

屋内でのスキャンには、狭い空間、変化する光、GPS が利用できない場所において高い精度が求められることなど、独自の課題が付き物でした。そのため、ハンドヘルド デバイスを使用したワークフローの実現が難しい状況でしたが、今回のリリースでは、Pix4D オートタグと GCP を直接 AR クラウドのアラインメントに統合することで室内での撮影の精度が上がり、より利用しやすくなりました。機械室、階段あるいは建物全体の内部をスキャンする際も、ユーザーはモバイル デバイスの簡便さとプロ レベルの精度を両立するツールを使用できるようになりました。

これは単に機能追加にとどまらず、空間の撮影方法を未来に向けて進化させるもので、デスクトップのパイプラインへの LiDAR データのインポートは、フォトグラメトリと深度データの双方の強みを活用したハイブリッドな室内モデリングの可能性の広がりにつながります。また、ハンドヘルド スキャン プラットフォームの進化とともに、より幅広い種類の製品に対応できるように基盤を整え、ユーザーが既に信用し使用しているツールに適用したワークフローの構築を行っています。Pix4D はトレンドに従うのではなく、よりスマートで緻密かつ様々な目的に対応した室内向け撮影機能に対するニーズに応え続けます。

室内における LiDAR 撮影点群

様々な業界で高速な処理時間、高い精度、高い適応性が求められる中、現場で使用されるツールに求められるのは単にデータを提供すること以上に、明快さ、背景情報の説明、扱いやすさが求められます。こうした状況において、今回のリリースは単なる新機能の追加にとどまらず、現場とオフィス環境のシームレスな連携の必要性、危険性の高い環境で使用できる直感的なツールの重要性、そしてソフトウェアが現実のワークフローに柔軟に適合すべきという期待の高まりなどといった、需要の変化を深く理解し、それに応えるものです。さらには、現実の環境をより簡単に、より信頼性高く、そしてよりスケールしやすく 3D モデルとしてキャプチャするというビジョンを描き、Pix4D エコシステムが今後一層、現場のニーズに合わせて進化していくための第一歩なのです。


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エンドツーエンドの 3D マッピング ソリューション

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