フォトグラメトリーとは画像を基にして測量を行う技術であり、大量の写真が必要になります。写真を撮影する方法としては、飛行機、ドローン、スマートフォンなどがありますが、一般的に垂直的な構造物よりも水平に広がる構造物のほうがデータを取得しやすいと言われています。通信塔などの高さのあるものを測量するよりも、広々とした場所を空中から測量する方が、全方向から写真を撮影する必要がないため容易です。

最新の通信設備点検ソリューション

このような通信設備点検とエンジニアリングの課題を解決するソリューションが、PIX4DscanとPIX4Dinspectです。この2つを併用することで、作業時間を短縮し、危険な高所作業を減らして、コストを削減できます。PIX4Dscanは、特に垂直方向の構造物のドローン撮影に適しています。このアプリを使用して、基地局鉄塔を上空から点検するための計画と飛行経路を定めたフライトプランを作成でき、現場の状況に合わせてプランを調整できます。フライトが自動化されるため、フォトグラメトリーの経験がないユーザーでも、データ収集のためのドローンフライトを適切に計画できます。その結果、現場での作業時間が75%短縮され、運用コストが大幅に減少し、収益性が向上します。点検担当者は地上で作業できるため、転落のリスクもなくなります。

収集されたデータは、点検と資産管理のためのクラウドベースのプラットフォームであるPIX4Dinspectにアップロードされます。PIX4DinspectはPIX4Dscanと連係して機能し、シームレスな統合が実現されています。インターネットのホットスポットを利用して、次の現場までの移動時間にデータを処理すれば、さらに時間を節約できます。PIX4Dinspectはクラウドサービスであるため、高価な処理ハードウェアは不要です。標準的なラップトップで数千個のアセットを同時に処理できます。画像を処理して現実世界のデジタルツインを作成し、作成したモデルに対して10種類以上のアルゴリズムを実行できます。このアルゴリズムによってアンテナの寸法や角度などの情報が自動的に検出され、同時に設置機器のインベントリが自動生成されます。処理が完了する頃には、点検プロセスがかなり進行しているため、ユーザーの作業負担が軽減されます。

PIX4DscanとPIX4Dinspectが資産点検に革命を起こす

次世代の点検ソフトウェア

PIX4Dinspectは、画像マップ、標高マップ、3Dモデル（点群とも呼ばれる）を生成します。なぜリアルなメッシュではなく、3Dモデル（点群）を使用しているのでしょうか。 その答えはシンプルです。Pix4Dは、エンジニアが求める詳細レベルの結果を提供したいと考えています。この業界でそれを実現する最適な手段が、点群なのです。写真のようにリアルな3Dモデルは、点群よりも正確であるとは限りません。モデルの本来の目的は、最小限の数の画像で最大限の精度を得ることにあります。モデルの価値を決めるのは、点群の精度です。モデルをリアルに表現することよりも、効率性と精度の方が重要なのです。

点群が完成したら、ユーザーは元画像を点検して故障箇所を特定できます。その際、ソフトウェアが自動的に検出した故障箇所も確認できます。その後、点検チームが3Dモデルにアノテーションを付けて、他のユーザーに共有できます。このモデルはインテリジェントなデジタルツインとして活用できます。モデルを受け取ったユーザーは、元画像に追加されたメモを見て、錆の発生、機器の欠損、拡張の余地があるスペースなどの指摘を確認できます。

マスターカメラ

写真のようにリアルな3Dモデルも悪くありませんが、正確で精密な計測ができなければ役に立ちません。データ収集時間と処理時間を短縮するために、少ない枚数の画像から必要な精度を達成することが課題となります。現場で撮影する必要がある画像の数が少ないほど、運用コストが減り、1日で点検できる鉄塔の数が増え、PIX4Dinspectを活用する機会が広がります。デジタルツインが通信市場に最初に導入された5年前ほど前は、デジタルツインの生成に2,000～5,000枚の画像が必要でした。PIX4Dinspectの場合、わずか250枚の画像で生成できます。

250枚の画像があれば、画像間のオーバーラップが十分に確保されたデータを得られるため、AIアルゴリズムによって2,500枚の画像を使った場合と同程度の精度でデータを解析できます。しかし、250枚でも多すぎる可能性があります。特に小規模な現場では、それほど多くの情報が不要な場合があります。そこで活躍するのがマスターカメラです。これは、AIを利用したフィルタリング機能で、資産全体のモデル化に最低限必要な画像を選び出し、それ以外の不要な画像や重複している画像を破棄します。たとえば、400枚程度の画像がある場合に、資産全体のモデル化に必要となる中心的な画像を約40枚選び出すことができます。これにより、作業時間が短縮され、効率性と生産性が向上します。

PIX4Dinspectの活用実例

PIX4Dinspectが生成するインテリジェントなデジタルツインを使用すると、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、鉄塔の貸し出し可能なスペースを迅速に特定するために必要なデータを得ることもできます。通信事業者やアンテナメーカーは、容量拡張だけでなく、5G通信の実施計画にも利用できます。2Dおよび3Dのデジタルツインを確認することで、詳細な測定結果を使用して機器の配置状況を確認できます。

通信会社は鉄塔の構造や機器の正確な測定結果をもとに、資産の監査を容易に行うことができます。必要な情報はすべてデジタルツイン上にあり、資産インベントリが自動的に生成されて最新情報が反映されるため、再点検や現場データの欠落を避けることができます。

PIX4Dinspectの自動資産インベントリ

業界に革命を起こす

PIX4DscanとPIX4Dinspectは、既に世界中のお客様のワークフローに革命を起こしています。この2つのソフトウェアは、ドローンサービス事業者が通信会社のために点検を行う際や、屋上のような立ち入りが難しい場所を点検する際などに役立っています。ドローンとフォトグラメトリーソフトウェアは、迅速で安全な点検を実現し、時間とコストを効率化する次世代のツールです。使いやすさ、共有しやすさ、安全性に優れるPIX4DscanとPIX4Dinspectなら、点検ワークフローを新たな水準に引き上げることができます。